古文の教え方 〜古文嫌いがいなくなる最強の授業法〜【先生向け】
1 教師の音読音声を流す

まず最初に教員が録音した本文の音読音声を流しましょう。これで一気に教室が授業モードになります。教室に備え付けのスピーカーなどから音声を流すとよいでしょう。感情を込めて、聞き手に意味が伝わるように、まるで現代語のように録音してください。2回流して2回目は生徒も一緒に声を出す、少し遅れて声を出す(シャドウイング)などするといいかもしれません。タブレット等が生徒に支給されている学校ならば、教科書、プリントなどを全て配信しておき「忘れ物を取りに行く」「隣に見せてもらう」などの注意散漫要素を排除しておいてください。

2 まとまった箇所を単語に分ける

ある程度まとまった箇所(3〜5行)を範囲にして、教科書にスラッシュを入れ、単語に分けさせましょう。スラッシュを入れる位置は教師が全て教えてやってください。慣れたら生徒自身でやらせたり、省いたりしたりしてOKです。スラッシュを入れさせる作業用の音読音声なども録音しておくと授業に緩急がでていいかもしれません。

3 本文から単語を抜き出す問題を解かせる

スラッシュを入れ終わった範囲で「意味を参考に単語を抜き出す問題」を解かせましょう。この問題は複数作り、あらかじめプリントに印刷しておいてください。単語の説明は短く、本文の意味に沿っているものだけ載せるのがポイントです。ここで出題した単語は後日同じ形式で小テストなどを実施してください。

例:しみじみとした趣がある。(「をかし」の未然形。)という意味の単語を抜き出しなさい。

→答え「をかしから」

*学年が上がるにつれて()の部分を外す。

4 問題を解かせる

一般的な入試問題で出題されるような問題を解かせます。これも教師が作り、あらかじめプリントに印刷しておきましょう。指示語に関するもの、内容説明に関するもの、口語訳をするもの、文法に関するもの、古文常識に関するもの、意見や感想を書くものなどです。生徒はこの時点で口語訳ができていません。その状態で解かせます。問題作成のポイントはここで「教えたいことを全て問題形式にしてしまう」「誰でも解けるやさしい問題も入れる」ということです。そして、問題と答えをたどっていけば、全体の文意がつかめるような作問を心がけてください。文法に関しては「いまの段階で必要なもの」だけをで出題します。問題を解く際に必要な情報があればすべてプリントに書いてやってください。「まったく同じ考え方で解けるほかの用例」などを出題して、生徒の理解を深めさせてください。

5 問題解説

4で出題した問題を解説します。解説は必要に応じて教科書に線を引かせながら行い、答えは板書するのではなく、教師が読み上げて生徒に書き写させてください。このとき説明のついでに軽く口語訳にも触れますが、書き写させたりはしません。書きたい人だけメモを取るように伝えます。あくまで問題の解説中心です。

6 口語訳を配る

一つの単元が終わったら生徒全員に口語訳を配ります。授業の最初に口語訳を配ることを宣言し、「口語訳を書き写すだけ」の授業から脱却します。上記した「3、単語を覚える」「4、問題を解く」ことに集中してもらい、主体的にテキストへ向き合うように授業をデザインするのです。

7 生徒に音読させる

最後に生徒にペアで音読をさせます。定期考査では「3」や「4」で出題した問題を改変したものや、「3」の単語が用いられている短文を口語訳する問題を出題します。ここで紹介した方法「口語訳」「スラッシュ」などの部分を除けば、現代文の授業でも有効です。

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