志賀直哉「城の崎にて」、高校の教科書でおなじみのこの教材です。このページではテストの過去問や予想問題を紹介していきます。本文は解答に必要な部分のみ掲載していきます。「内容説明問題の解き方」を読んでおくと理解がスムーズです。テストまで時間がない人は答えだけ暗記するのもいいでしょう。
ねずみはどうかして助かろうとしている。顔の表情は人間にわからなかったが動作の表情に、それが一生懸命であることがよくわかった。
問:「動作の表情」とあるがここから筆者は何を感じているか書きなさい。
鼠が殺されまいと、死ぬに決まった運命を担いながら、全力を尽くして逃げ回っている様子が妙に頭についた。自分は寂しい嫌な気持ちになった。あれが本当なのだと思った。自分が希っている静かさの前に、ああいう苦しみのあることは恐ろしいことだ。死後の静寂に親しみを持つにしろ、死に到達するまでのああいう動騒は恐ろしいと思った。自殺を知らない動物はいよいよ死にきるまではあの努力を続けなければならない。
問:「あれが本当」とあるが、どういうことか説明しなさい。
今自分にあのねずみのようなことが起こったら自分はどうするだろう。自分はやはりねずみと同じような努力をしはしまいか。自分は自分のけがの場合、それに近い自分になったことを思わないではいられなかった。自分はできるだけのことをしようとした。自分は自身で病院をきめた。それへ行く方法を指定した〜(略)
問:「それに近い自分になった」とあるが、どういうことか説明しなさい。
で、またそれ(命の危機)が今来たらどうかと思ってみて、なおかつ、あまり変わらない自分であろうと思うと「あるがまま」で、気分で願うところが、そう実際にすぐは影響はしないものに相違ない、しかも両方が本当で、影響した場合は、それでよく、しない場合でも、それでいいのだと思った。それは仕方のないことだ。
問:「影響した場合」とあるが、これはどういう場合か説明しなさい。
十年ほど前によく蘆の湖でいもりが宿屋の流し水の出る所に集まっているのを見て、自分がいもりだったらたまらないという気をよく起こした。いもりにもし生まれ変わったら自分はどうするだろう、そんなことを考えた。そのころいもりを見るとそれが想い浮かぶので、いもりを見ることを嫌った。
問:「自分がいもりだったらたまらない」とあるが、このように述べる筆者の気持ちを書きなさい。
いもりにとっては全く不意な死であった。自分はしばらくそこにしゃがんでいた。いもりと自分だけになったような心持ちがしていもりの身に自分がなってその心持ちを感じた。かわいそうに想うと同時に、生き物の寂しさを一緒に感じた。自分は偶然に死ななかった。いもりは偶然に死んだ。自分は寂しい気持ちになって、ようやく足元の見える路を温泉宿の方に帰ってきた。
問:「寂しい気持ち」とあるが、このような気持ちになったのはなぜか。