「羅生門 / 芥川龍之介」テスト予想問題
はじめに

芥川龍之介「羅生門」のテストの過去問や予想問題を紹介していきます。本文は解答に必要な部分のみ掲載していきます。「内容説明問題の解き方」を読んでおくと理解がスムーズです。テストまで時間がない人は答えだけ暗記するのもいいでしょう。

「この衰微」に関する問題

ふだんなら、もちろん、主人の家へ帰るべきはずである。ところがその主人からは、四、五日前に暇を出された。前にも書いたように、当時京都の町はひととおりならず衰微していた。今この下人が、永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波にほかならない。

問:「この衰微の小さな余波」とあるがこれはどのようなことをいっているのか。

ヒント(タップすると出ます)
「余波」とは小さな影響という意味です。「衰微」とはどこがどのようになったことを言っているのでしょうか。
答え(タップすると出ます)
京都の町が災いによって荒れ果てたことの小さな影響だということ。
「この局所」に関する問題

どうにもならないことを、どうにかするためには、手段を選んでいるいとまはない。選んでいれば、築土の下か、道端の土の上で、飢え死にをするばかりである。そうして、この門の上へ持って来て、犬のように捨てられてしまうばかりである。選ばないとすれば──下人の考えは、何度も同じ道を低徊したあげくに、やっとこの局所へ逢着した。しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。下人は、手段を選ばないということを肯定しながらも、この「すれば」の片をつけるために、当然、その後に来たるべき「盗人になるよりほかに仕方がない。」ということを、積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。

問:「この局所へ逢着した」とあるが、どういうことか説明しなさい。

ヒント(タップすると出ます)
「局所へ逢着」とは「ある部分に行き着いた」ということです。下人は具体的にどのような行動を決断したのでしょうか。
答え(タップすると出ます)
下人が盗人になることを決断したということ。
「とうに忘れている」に関する問題

下人には、もちろん、なぜ老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。したがって、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいか知らなかった。しかし下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くということが、それだけで既に許すべからざる悪であった。もちろん、下人は、さっきまで、自分が、盗人になる気でいたことなぞは、とうに忘れているのである。

問:「さっきまで、〜のである。」とあるが、それはなぜか。

ヒント(タップすると出ます)
老婆が髪を抜くのを見て、下人はどのように思ったのでしょううか。
答え(タップすると出ます)
老婆が死人の髪を抜くのを見て、あらゆる悪に対する反感を感じていたから。
「憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった」に関する問題

これを見ると、下人は初めて明白に、この老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されているということを意識した。そうしてこの意識は、今までけわしく燃えていた憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった。

問:「憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった。」とあるが、それはなぜか。

ヒント(タップすると出ます)
「憎悪」とは人をうらむ心です。それが消えた理由が前に書いてあります。
答え(タップすると出ます)
憎悪の対象であった老婆の生死が自分に支配されていることを意識したから。
「あざけるような」に関する問題

「きっと、そうか。」

 老婆の話が終わると、下人はあざけるような声で念を押した。そうして、一足前へ出ると、不意に右の手をにきびから離して、老婆の襟上をつかみながら、かみつくようにこう言った。

 「では、おれが引剥をしようと恨むまいな。おれもそうしなければ、飢え死にをする体なのだ。」

 下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎ取った。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。はしごの口までは、僅かに五歩を数えるばかりである。下人は、剥ぎ取った檜皮色の着物を脇に抱えて、またたく間に急なはしごを夜の底へ駆け下りた。

問:「あざけるような」とあるが、これには下人のどのような気持ちが込められているか。

ヒント(タップすると出ます)
「あざける」とは人を愚かだと馬鹿にする気持ちです。ではなぜ下人は老婆をばかにするのか。それは老婆の主張である「飢え死にしないための悪は許される」という言葉に従い、老婆自身がこの後下人に服を盗まれてしまうからです。
答え(タップすると出ます)
飢え死にをしないための悪は許されるという論理を逆手に取られて、下人に引剥ぎをされる老婆を愚かだと馬鹿にする気持ち。
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